通信講座・通信教育のたのまなトップ > カウンセラーの給料・年収はいくら?収入の実態を解説!

カウンセラーの給料・年収はいくら?
収入の実態を解説!

心の病気は、一昔前よりもずっと身近なものになっています。今では、日本人の5人に1人は一生に一度、何らかの心の病気にかかるといわれています。そのため、心の健康保持増進に貢献するカウンセラーは社会的にニーズの高い職業といえます。カウンセラーになりたいと考えたとき、給料や年収が気になる方は多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、カウンセラーの資格や職場ごとの年収の目安をご紹介します。

カウンセラーの資格の種類

世の中には“カウンセラー”という名前が付く資格はたくさんありますが、実際に心の専門家として、安定した職業に就くことのできる資格は限られています。

今のところ、日本で唯一の心理系国家資格は公認心理師です。そのため、病院や学校で働くためには、少なくとも公認心理師の資格を取得している必要がある場合がほとんどです。

民間資格ではありますが、30年以上の歴史がある臨床心理士もさまざまな現場で活躍しています。公認心理師は比較的新しい資格であることもあって、公認心理師に加えて臨床心理士の資格を取得していることを条件とする求人票も多く見られます。

そのほかにも、同じく民間資格の臨床発達心理士や学校心理士、産業カウンセラーといった資格も、それぞれの専門領域で長年活躍してきた実績があります。

公認心理師もその他の民間資格も、資格を取得するためには大学や大学院でじっくり時間をかけて心理学を学んだり、現場で何年もの実務経験を積んだりする必要があります。カウンセラーを職業として収入を得るためには、専門的な知識と技術が求められるでしょう。

ただし、「まずは気軽にカウンセリングや心理学に触れてみたい」といった方のニーズに応えるために、最近ではメンタルケア心理士®講座といった通信講座で心理学を学べる機会も増えています。そのような講座を入り口にしてカウンセリングや心理学への関心を高めていく人たちも少なくありません。

カウンセラーの活躍の場

カウンセラーの活躍の場は、今もなお広がり続けています。病院だけでも、最近では精神科に加えて内科、小児科、産婦人科などでカウンセリングを実施するケースが増えています。病院では、うつ病や統合失調症といった病気に苦しむ方のほかに、不妊に悩む女性やがんや糖尿病といった病気に苦しむ方、認知症の方とそのご家族を対象に専門的なケアを提供しています。

また、多くの学校にはスクールカウンセラーが配置されていて、不登校やいじめといった悩みを抱えるお子さんやその保護者、学校の先生に対してカウンセリングや助言を行っています。お子さんの相談ももちろんですが、実は保護者や先生からの相談もとても多く、家庭と教育の現場を最前線で支える専門家の1人として活躍しています。

さらに、児童相談所などの公的機関にも心の専門家としてカウンセラーを配置している自治体は多くあり、従業員の休業や退職を予防するためにカウンセラーと連携している企業もあります。国を挙げて、国民全体の心の健康保持増進に取り組んでいこうとしているところです。

将来は病院や学校などで積んだ経験を活かして、自分のカウンセリングルームを開業することも夢ではありません。特に、コロナ禍以降はビデオ会議システムを使用したオンラインでのカウンセリングが急速に浸透したこと、在宅ワークのために自宅で過ごす方が増えたことなどが影響して、開業するカウンセラーが増えている印象です。

カウンセラーの雇用形態

カウンセラーとして働くことを目指すとしても、現実的には常勤雇用の求人はそれほど多くありません。厚生労働省による「公認心理師の活動状況に関する調査」によれば、国家資格の公認心理師でも、非常勤雇用の割合は約38%と少なくありません。公認心理師の約54%は非常勤雇用である理由として、希望する常勤の求人がないことを挙げています。

常勤として雇用されるためには、資格を持っているだけでは十分ではありません。カウンセラーとして高い専門性とスキルを身につけていることが求められるので、資格を取得した後も継続的に研修に参加したり、先輩カウンセラーから指導を受けたりする必要があります。

※公認心理師の活動状況に関する調査(厚生労働省, 2020)

病院で働く場合の年収

病院の場合、常勤雇用のカウンセラーと非常勤雇用のカウンセラーの割合は、だいたい同じです。常勤雇用の公認心理師は、300~400万円で働く人の割合が最も高くなっています。非常勤雇用の場合、働く日数やほかの職場と掛け持ちしているかどうかによって年収が変わりますが、時給1,500~2,000円で働く人の割合が最も高くなっています

現在病院で常勤カウンセラーとして採用されるためには、公認心理師か臨床心理士の資格を求められるケースがほとんどです。そのほかの資格を持つカウンセラーは、非常勤であれば可能性がないわけではありませんが、現実的には厳しい挑戦になるでしょう。

※公認心理師の活動状況に関する調査(厚生労働省, 2020)

学校で働く場合の年収

学校で働くカウンセラーの約70%は非常勤雇用です※1。これは、学校で働くスクールカウンセラーの多くが、自治体の教育委員会で非常勤職員として採用されるためです。年収は自治体によって異なったり、公立か私立かによっても変わったりしますが、時給4,000~6,000円で働いているカウンセラーが多いようです。

ただし、最近では文部科学省が中心となってスクールカウンセラーの常勤化に向けた調査研究が行われているので、今後学校に常勤するカウンセラーが増えるかもしれません。学校で働くカウンセラーの約8割は臨床心理士の資格を取得しているというデータもありますが、公認心理師や学校心理士、臨床発達心理士といった資格を持ったカウンセラーが活躍しています※2

※1公認心理師の活動状況に関する調査(厚生労働省, 2020)

※2文部科学省ホームページ スクールカウンセラーについて(2022.12.18現在)

公的機関で働く場合の年収

カウンセラーの中には裁判所や少年院、児童相談所といった公的機関で働く人もいます。そのようなカウンセラーの多くは、公務員試験を受験して合格した人です。そのため、ほかの領域に比べて常勤雇用の割合が約70%と高くなっています

この場合は資格の種類を問わず、大学を卒業して試験に合格できるだけの実力を備えていれば、誰にでも心の専門家として活躍できる可能性があります。簡単な試験ではありませんが、合格できれば年収500~600万円で働く人が一般的です。人数は多くはありませんが、非常勤雇用の場合にはカウンセラーとしての経験年数が時給に大きく影響するようです。経験年数10年未満のカウンセラーだと時給1,500円以下のケースが多いようですが、経験年数が10年以上になると時給4,500~5,500円で働くカウンセラーの割合が高くなります

※公認心理師の活動状況に関する調査(厚生労働省, 2020)

企業で働く場合の年収

企業でカウンセラーとして働く場合、働き方は大きく2つに分けられます。1つは、その会社の健康管理に関わる部署や相談室に所属して、従業員と関わるというものです。もう1つは、従業員支援プログラム(Employee Assistance Program:EAP)というサービスを提供する企業に所属して、会社の外部相談機関として関わるというものです。この領域では公認心理師や臨床心理士以外に、産業カウンセラーの資格を持った人も活躍しています。

公認心理師の場合、常勤として働くカウンセラーと非常勤として働くカウンセラーの割合は、ほぼ同じです。常勤として働く場合は、公認心理師であれば年収400~500万円で働くカウンセラーが最も多く、非常勤として働く場合は公的機関で働くカウンセラーと同じように経験年数によって時給に差が出るようです。カウンセラーとしての経験が10年未満の場合は時給1,500~2,500円で働く人の割合が高く、カウンセラーとしての経験年数が10年以上になると時給4,500~5,500円で働くカウンセラーが多くなります。また、10年以上の経験があるカウンセラーのうち、時給9,500円以上で働く人の割合がほかの領域に比べて高いことも特徴です※1

公表されている産業カウンセラー協会のデータを見ると、産業カウンセラーの場合は会社の相談室や外部EAP企業で勤める人の割合よりも、ハローワークで働くカウンセラーの割合が高いようです。また、非常勤や契約社員として働く人の割合が多く、正社員として働くカウンセラーの割合は全体の約20%にとどまります。そのためか、年収300万円以下で働くカウンセラーが半数以上となっています※2

※1公認心理師の活動状況に関する調査(厚生労働省, 2020)

※2産業カウンセリング研究便り(産業カウンセラー協会)

開業する場合の年収

カウンセラーを目指す人の中には、「いつかは自分だけのカウンセリングルームを開業したい」と考える人もいるかもしれません。カウンセリングを実施できる個室を用意できれば、従業員を雇うことなく自分1人でも開業できることがカウンセラーの魅力の1つです。

残念ながら開業カウンセラーの年収を調査したデータは見当たりませんが、1回のカウンセリング料金の相場は1万円前後です。仮に1日5件のカウンセリングを月に20日実施したとすると、月収100万円、年収1,200万円以上も夢ではありません。

しかしながら、開業カウンセラーとして成功するまでの道のりは決して平坦ではありません。無料または安い料金で利用できる相談サービスを自治体で用意しているところも少なくありませんし、日本ではまだお金を払ってカウンセリングを受けるという文化が根付いていません。そのため、毎日継続的に相談者さんが訪れるようなカウンセリングルームにするためには、高い専門性と確かな技術、幅広い経験を持つ必要があります。

地域の人たちによく知られた、信頼できるカウンセラーであり続けられるように、研修会や学会に積極的に参加したり、先輩カウンセラーと一緒に自分のカウンセリングについて振り返るスーパーバイズと呼ばれる訓練を受けたりする必要があります。このような研修や訓練のほとんどは有料ですから、その出費も考慮して開業計画を立てる必要があります。実際は、自分のカウンセリングルームの収入だけで生活できるようになるまでの間、スクールカウンセラーなど非常勤の仕事をいくつか掛け持ちするカウンセラーもいます。

まとめ

カウンセラーという仕事は、どのような領域で働くとしても常勤の求人は少ないのが現状です。また常勤の求人の多くでは、公認心理師や臨床心理士といった大学や大学院で心理学を学ぶことを条件とする資格が求められます。そのため、カウンセラーとして病院などで安定的に働きたいと思うなら、カウンセリングや臨床心理学を学べる大学や大学院を目指すとよいでしょう。すでに大学を卒業しているなら、心理系の公務員を目指すという方法もあります。

一方で、産業カウンセラーのように大学や大学院の卒業を必要としない資格を取得して、非常勤のカウンセラーとして活躍できる職場もあります。また、まずはメンタルケア心理士®講座といった通信講座を活用して、カウンセリングや心理学について関心を高めていくという方法もあるでしょう。そこから本格的にカウンセリングを仕事にしたいと思ったら、通信制の大学や大学院などにチャレンジして、国家資格の取得を目指すこともできます。

いずれにしても、資格の取得はスタートラインです。資格を取得してからも、最新の知識を取り入れて、カウンセリングの技術を磨く努力を続けることが大切です。そうすればカウンセラーとしての信頼が高まり、結果的に年収アップにもつながるでしょう。

<執筆・監修者>
氏名:上河邉 力(かみこうべ ちから)

資格:臨床心理士/公認心理師
プロフィール:精神科の主任心理士として10年ほど経験を積んだ後に独立開業。ビデオ会議システムやメールを活用したオンラインカウンセリングの提供、メンタルヘルス関連企業の心理・サービス責任者などを務める。北海道の医療系総合大学助教として、公認心理師育成にも携わる。

たのまなで始めよう!
メンタルケア心理士®講座