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02調剤薬局事務の仕事内容と資格

医療機関で診察してもらい、調剤薬局に処方箋を持って薬を受け取りに行くと、最初に受付で対応してくれる人が調剤薬局事務です。

受付業務のほかに、調剤薬局事務のお仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。また、調剤薬局事務に関する資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、調剤薬局事務の仕事内容やいくつかある資格についてご紹介します。

調剤薬局事務の業務内容

調剤薬局事務の業務内容

調剤薬局事務は、調剤薬局の事務作業全般を担う仕事です。調剤する薬剤に関する書類の管理や整理、受付での患者さんの対応、薬局内の清掃など幅広い業務を行います。

特にメインになる業務は、レセプトの作成です。レセプトとは、実際にかかる医療費から、患者さんが支払った医療費を差し引いた金額を請求するための明細書のことで、市町村や健康保険組合などの保険者に提出します。 処方する医薬品の種類によって、レセプトに記入する点数の付け方などが異なり、高い専門性が求められます。また、ミスを起こすと、本来支払われるはずの報酬が支払われないこともあるため、作業の正確性が求められます。

調剤薬局事務と医療事務との大きな違いは、対応する領域の広さです。医療事務の場合は、 入院、処置、手術などについても対応することがあります。薬剤に関する対応が中心の調剤薬局事務に比べると、医療事務のほうが、広範囲にわたる対応が求められます。

調剤薬局事務として働くことのメリット

調剤薬局事務に就くメリットは、いくつかあります。
まずは、職場や勤務スタイルの自由度が高いことです。調剤薬局事務のニーズは高まっており、職場探しも比較的楽に進められるでしょう。 時間もフルタイムで働くだけでなく、パートのような形で時間を限定して働くことができます。育児などで働く時間に制限のある人には、働きやすい職種であるといえます。

また、調剤薬局事務は、先ほど挙げたように、調剤報酬明細書等の作成など高い専門性が求められる仕事です。そのため、調剤薬局事務の経験者は重宝されやすく、妊娠などでブランクがあっても復帰しやすいという傾向があります。

調剤薬局事務にはどういう人が向いているのか
調剤薬局事務は、調剤報酬明細書等を作るのに必要な正確性、受付対応するためのコミュニケーション能力、調剤に関する資料などを整理する管理能力が求められます。 そのため、与えられた作業を正確にきちんと行える緻密さを持ち合わせ、人とのコミュニケーションが苦にならない人、さらに、整理整頓がきちんとできる人が調剤薬局事務に向いているといえるでしょう。

調剤薬局事務関連の資格を取るメリット
調剤薬局事務は、国家資格が存在しません。そのため、誰でもなることが可能です。 しかし、民間の団体や企業が認定する資格を取得することで、職場を選ぶ際に有利になる一面があります。 調剤薬局事務の専門スキルを客観的に測ることができる資格を持っていると、採用する側の印象も変わり、内定をもらえる可能性も高くなります。

また、資格取得の勉強を通じて基本的な知識が身につき、調剤報酬に関する法律の改正などがあっても対応しやすくなります。実務面でも大きなメリットが生まれることでしょう。

調剤薬局事務に関する資格の種類

それでは、調剤薬局事務にかかわる資格には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、4つの資格についてご紹介します。

・医療保険調剤報酬事務士
「医療保険調剤報酬事務士」は、医療保険学院が認定している資格です。この資格を所有していることで、「調剤報酬を正しく理解している」「医療保険制度や医薬品についての知識がある」「レセプト業務をきちんと行うことができる」ということを証明することができます。

毎月行われている修了検定試験に合格すると、医療保険調剤事務士の資格が与えられます。修了検定試験を受験するには、調剤報酬事務に関する通信教育カリキュラムを受講し、その講座内で行われる3回の中間テストに合格することが条件となります。なお、修了試験の問題は、決まった日に検定委員会から郵送で届けられ、在宅で受験します。

医療保険調剤報酬事務士を取得するには、通信講座の活用がおすすめです。ヒューマンアカデミーの通信講座たのまなでは「調剤薬局事務講座」を設けており、資格を取得するために必要な内容を網羅しています。 講座は、医療保険学院の専任講師が開発しており、きちんと講座を受講しておけば、資格の取得へ大きく前進できるでしょう。

・調剤事務管理士
「調剤事務管理士」は、技能認定振興協会(JSMA)が認定する資格です。受付業務、処方箋・調剤録管理業務、会計業務、 レセプト業務といった調剤薬局で働く上で必要な事務スキルがあることを証明するために作られた資格となります。
受験資格は特になく、年齢制限もありません。試験は奇数月に開催されており、全国の主要都市で受験することができます。

試験は、学科と実技の2種類があります。学科試験はマークシート形式で10問となっており、法規(医療保険制度・公費負担医療制度などについての知識)、 保険請求事務(調剤報酬点数の算定、調剤報酬明細書等の作成、薬剤用語などの知識)、薬の基礎知識(医薬品・薬価基準の基礎知識、薬の作用など)について出題されます。 実技試験は、レセプトの作成が2問、レセプトの点検が1問の計3問が出題されます。なお、試験の合格率は60%程度となっています。

・調剤事務実務士
「調剤事務実務士」は、特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が認定する資格です。調剤報酬請求の事務を行う上で必要な能力を持っていることを証明する資格で、 調剤薬局やドラッグストア、小売業やサービス業で働いている、もしくはこれから働こうとしている人を対象にした資格です。
2017年現在、医療福祉情報実務能力協会による教育指定校もしくは指定された団体のみで受験可能になっています。

試験内容は、学科試験と明細書作成試験の2種類があります。学科試験は、薬学の知識、医療保険制度、点数算定、接遇マナーが出題範囲で、計20問出題されます。明細書作成試験では、一般、後期、小児、在宅、特定疾患のいずれか3つの処方箋から調剤報酬明細書等を作成する内容になっています。

・調剤報酬請求事務専門士
「調剤報酬請求事務専門士」は、一般社団法人専門士検定協会による認定資格です。医療費抑制に伴い、年々アップデートされる調剤報酬改定に対応し、 調剤報酬を的確に算定して、患者さんに説明ができるスキルがあることを証明する資格となります。

資格は、1級から3級まであります。1級は「調剤報酬の基礎・応用を的確に理解し、説明できる(教育者・リーダーレベル)」、 2級は「調剤報酬の応用を理解し、実務に活かすことができる(中堅社員レベル)」、3級は「調剤報酬の基礎を理解している(新入社員レベル)」と、各級ごとにレベルが設定されています。

資格取得に必要な検定試験は、毎年7月と12月の年2回行われ、全国の主要都市で受験できます。 試験は、すべての級に共通の問題(マークシート式の学科試験と実技試験)があり、さらに2級は応用的な内容を含んだ学科試験、1級は学科試験と実技試験が追加されます。

調剤薬局事務の資格は就職、キャリアアップに役立つ

ここまで、調剤薬局事務の業務内容と関連した資格についてご紹介しました。調剤薬局事務は、資格がなくても働くことはできますが、持っていると転職などに有利に働くこともあります。

これから医薬品の需要はさらに高まり、それに伴って調剤薬局事務のニーズはますます高くなります。また、調剤薬局事務で薬に関する知識を身につけておくと、今後のキャリアアップとして登録販売者の国家試験を受けるときにも、その知識が役立つでしょう。